東洋経済新報社の「地頭力を鍛える」という書籍が店頭のいいところに置かれております。
今週の週刊東洋経済でも特集を組んで、さらなる売上向上を図らんとしているようす。
私は週刊誌を買ってみました。
ところで、「地頭力(じあたまりょく)」という言葉ですが、ここでは「考える力のベースとなる知的能力」と定義されております。
書籍の著者である細谷功氏は、「知的好奇心」をベースに、「論理的思考力」「直観力」を持ちつつ、「抽象化思考力」「フレームワーク思考力」「仮説思考力」という3つの思考力によって、「考える力」は構成されるとしております。
ふぅ、これだけでもう脳がグルグルしてきますね。
私もここ数年、「あいつぁ地頭がいいね」と使うことが増えてきましたが、その意味は、こんな複雑なものではありません。
言ってみれば、幼少の頃から地道に鍛えられてきた体力みたいなものという意味で使っております。
稲尾和久投手の鉄腕は、小学2年生の頃から、オヤジさんの漁を手伝って、伝馬船を漕いだことにより鍛えられた。
あの稲尾さんのケツは、不安定な小舟の上で、1日また1日と鍛錬されていったという伝説です。
それでは、斎藤佑樹投手が、矢切の渡しでアルバイトをすれば、稲尾さん並みの活躍が期待できるかというとそうではない。
ましてや、草野球レベルのオッサンが井の頭公園でボートを漕いだって、何にもなりません。
疲労が残るだけです。
私の考えていた地頭力は、「気づいた時には鍛えることが不可能な能力」だと思っておりました。
物心がついた頃から、目の前で起きたこと、本で読んだことが、いつの間にか脳にインプットされている。
その知識は、短期記憶としてよりも、長期記憶として脳に定着し、それは「三つ子の魂百まで」の言葉どおり、何歳になろうと、スラスラ出てくる。
突き放して言ってしまえば、「社会人になったら鍛えるのは無理」なのが地頭力だと思います。
脳味噌が固形物化してきますからね、大人は。
ちょっとツッコミを入れさせてもらえば、週刊誌の特集で、これはたしか新聞広告の見出しにもなっていたかと思いますが、
「新幹線、東京〜大阪間でコーヒーは何杯売れる?」
という計算をさせる問題で、解答の計算式はこうなっております。
「新幹線の車両編成数×1両あたり乗車人数×搭乗率×車内飲み物購入率×コーヒー選択率×3時間で飲む回数」
答えは230杯と導き出されておりますが、この「編成数」が「15両」と書かれております。
東海道新幹線は16両編成でしょ?
これが地頭力だと思うんです。
あれこれ脳味噌を働かせなくとも、Wikipediaで調べなくても、電信柱が高いように、郵便ポストが赤いように、東海道新幹線の車両編成は16両とハナから決まっています。
そしてこんなのは常識的すぎて、今さら調べるでもない。
子供の頃、新幹線を初めて見て、「うちの近所の電車より長いなぁ」と感動して、「わー、16両もあるのかよ!」と驚くことしか、記憶の方法はないはずです。
机上の知識として覚えたものではないというのが、とみざわ流地頭力です。
とはいえ、雑学ブームに乗るために、その知的能力に、「地頭力」を持ってきたのは、うーん、してやられたという感じもします。
ちょっとズルいですなぁ、山田真哉氏とともに。
アハ体験ではないですが、特集の問題を考えるだけで、脳が活性化してきます。
ポアンカレ予想はどういうことかなんて考えなくても十分です。
そして、細谷式「地頭力」を読めば読むほど、これは要するに「ビジネスサバイバル能力」のことだなと思いました。
だって、多くの人に、こんな地頭力を身につけられたら、「調査会社は商売あがったり」です。
調査する必要ないんですもん。
推定できちゃうし。
商店街で繁盛している八百屋のオヤジは、いちいち地頭力的思考をしなくても、パパッと結論を導き出せる。
これが最もローコスト。
というより、ノーコスト。
それができない人は、この地頭力をフル回転させて考える。
これが次善のローコスト。
慣れないうちは、時間を食います。
それもできない人は、どうぞ、巷の調査会社にウン百万円お支払いいただければ、代わって結論にお導きいたしますということです。
パソコンもネットも、ごく日常のものとなった今、1週間停電している間に、自分の仕事をいかに完遂させることができるか。
そういうサバイバル能力の源泉ですね、この地頭力は。
で、これって、要するにボーイスカウトで習うことに似ているとも思いました。
例えば、下の図のような、「川幅A−B」と「木の高さC」を、川を渡らずして調べる方法は何か?
「平成教育〜」に出てきましたね、こんな問題が。
おおよその川幅を調べる方法は、さしあたっては1つですが、木の高さを推定する方法は、ボーイスカウトなら、最低でも2つはすぐに出てこないといけません。
それが身に付いていないと、測量会社に依頼しないといけないということです。
ボーイスカウトの裏必読書として、「冒険手帳」という本がありました。
これはもう、ウソでなく、すり切れるほど読みました。
キャンプとかにも、持って行ってましたからね。
火のおこし方、水の「作り方」とか載っていました。
普通に読んでいても、楽しめる本でした。
現代社会では、火のおこし方など知らなくても、当たり前に生きていける。
でも、何かが起きたときには、そんなことすらできずに死を迎える可能性がある。
そういうサバイバル術のビジネス版。
それが地頭力。
「冒険手帳」は、たしか青春出版からの刊行でしたが、今は光文社の知恵の森文庫から復刊しております。
帰りに探して、買ってみようっと。








